元MtFが語る

元MtFなバイセクシャルです。男から女に性別変更後、男性と結婚しました。LGBTに関することを、LGBT・性的多数者、両方に向けて語っていきます。

出会って2ヶ月で夫さんと婚約した理由

■馴れ初め

事実から申し上げますと、夫と出会って2ヶ月で婚約し、10ヶ月で入籍しました。

出会いは、東京神保町の粋な喫茶店でした。Twitterのフォロワー同士だった私達は、ひょんな経緯でオフ会をしました。東京神保町の粋な珈琲屋でした。

Twitterで二人共フォローしている人の話をしたり、お互いに見たことあるアニメの話をしたり。奇しくも互いに経済学部だったことも、会話に華を添えた気がします。

それからは、なんということはありません。お互い恋人がいないことを確認して、夫さんから告白し、互いに恋愛感情のない、形ばかりのカップルが誕生しました。

さて、それから付き合ううちに恋に落ちていくわけですが、そこはさして重要ではありませんので、本題に移ります。どうして、たった二ヶ月で婚約を決意したのか。


■夫さんを選んだ理由

一言で言うなら、
信じれたから。

夫さんは、正直、ブサイクだ。すぐ苛立って語気を荒らげるし、美味しくない料理は美味しくないと言って食べるのをやめるし、一度決めたことはテコでも動かない。そんな夫さんだけど、この人なら私が元男だってことを差別しないだろうって。信じれたから。

私の心を掴んだ出来事が1つある。

初夏の晴天だった。その日、私は行きたい会社の最終面接の不合格通知を受け取った。彼氏だった夫さんと合流した瞬間だった。二人で私の家に帰って、気私は沈んだまま。察して気遣ってくれた夫さんに、思わず過去の全てをぶちまけた。

元男だということは付き合う時から教えていたけれど、過去のいろんな出来事を吐き出した。高校時代に自分の性自認に気づいたこと。その性自認を親に拒絶されたこと。親から多大な迫害を受けたこと。逃げるように遠くの大学に進学したこと。遠くの大学で、親を騙しながらお金を貯め、性別適合手術をしたこと。過去を、全部ぶちまけた。高校で軽蔑されたことも、性同一性障害のせいで好きだった人にフラレたことも、誰も信じられない時期があったことも、みんなぶちまけた。

話し終えた瞬間、夫さんに、抱きしめられた。強く強く抱きしめられた。夫さんは号泣していた。わたしじゃなく、夫さんが号泣していた。そして、涙声でポツリと一言、「大変だったね」って、心の声を零したんだ。


その瞬間ね、
あぁ、この人ならきっと私を本当の本当に受け入れてくれる、って思えたんだ。